壺の中見て

街に飲み込まれる

愛用しているMacのトラックパッドが壊れた。

壊れた、という表現も若干違うのだがトラックパッド全体が若干沈んでしまい物理的なクリックが出来なくなってしまった。

ちなみに僕は先週から東京で働いている。東京は凄い。大阪・広島の時とは別次元のレベルで近場にApple Storeが存在しているのですぐさまGenius barに持っていくことにした。

地下鉄に乗り、渋谷で降りるや否や「東京には慣れてますよ」感を程々に匂わせる完璧な歩行速度で雑踏に紛れ込む。程なくして渋谷のAppleStoreに到着する。事前に予約していたので当たり前のように混雑はしていたが待ち時間もなく担当の人が話しかけてきた。

担当してくれたのはかなりガタイが良く、威勢のいい素敵な笑顔のアニキ的風貌の店員であった。取り急ぎMacを見せ状態の説明すると、恐らくクリック部のネジを調節すれば直るとのこと。素早い手捌きで丁寧にMacを緩衝剤で包み、裏へと消えていく。

隣で中国人スタッフと中国人客がカタコトの日本語でApple Watchの修理の話をしているのを見つめながら待機。しばらくして中国人たちがヒートアップし、お互い中国語になり始めた頃、アニキが戻ってくる。

アニキは申し訳なさそうに「ネジが堅すぎて回せないです…」と一言。渋谷の五郎丸と異名を持つ彼のパワーでも回せないとは。その筋肉を持ってして不可能ということは、死の宣告と同義である。

気付くと僕は茫然自失の中、渋谷の街をふらふらと歩いていた。すれ違うオラったヤンキーが茨城弁で携帯に怒鳴っている。

そういえば茨城の祖母の家にも遊びに行きやすくなったのだ。


この街独特の息遣いを間近に感じながら、ここでしばらく頑張ってみようと思った。